2015年12月01日

昭和乙ニュース(70)拾った大穴車券 昭和29年

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 所沢市営村山競輪場でオジさんが的中車券を拾ったお話。今も昔も、よくあることではあるが、このときの払戻金額が「四十四万七千六百八十円」だったからビックリ。「たった一枚しか買手のなかった」車券が「大穴車券」に化けたのである。

 大卒事務職の初任給が1万円前後だった頃だから、当時の44万7680円を今どきの価値に直せば800万円は下らない。

 さて、拾ったオジさん、正直に「所沢市署に届出」。処置に困った警察は、通産省に「どうしたらいいでしょう」。5日後、通産省からのお返事は「車券有効期間の一ヵ月内に現金化して同署に保管、一年経って落し主が出ないときは拾った人へ」だった。

 ただし、車券を拾ったとき「これ、当たり車券ちゃいますか?」と話しかけたら「おっ、当たってまんがな」と答えた水道局員と「二十二余万円すつ山分けとなる」そうだ。

 ちなみに所沢市営村山競輪場は、この事件(?)があった翌5月から西武園競輪場と名を変えている。10年ほど前に大規模改修工事が行なわれ、現在も現役。

 教訓:競輪場に行ったら地面を見て歩くべし。車券買うより儲かるかも。

画像:朝日新聞/昭和29年4月28日

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2015年12月03日

昭和乙ニュース(71)テレビはてな? 真空管 昭和37年

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 テレビ受像機のアレコレをわかり易く解説する<続 テレビはてな?>シリーズの<真空管>。現在の朝日新聞読者コーナー「はてなTV」とは異なり、ハードに関する話題だ。

 さて<真空管>。ラジオの場合は「真空管の数で、格付け」されるが、テレビは「ブラウン管の大きさ」で区別される。標準タイプは14吋、ちょっと高級になると17吋といった按配。

 でも、テレビには「少なくて十五球、多いのは二十球以上もの真空管」が使われていて、「ブラウン管に比べて、割りによく悪くなる」から要注意だという。

 たとえば「画面が暗くなり、画面の横幅も、縦幅も、せばまって」くる症状が出たら、水平出力管の「6BQ6または6CM5など」が弱ってきている証拠。「一万ボルトという高い電圧」で「走査線を横にふらせる」役目を担っているから。

「画面の天地がつまって横にまのびしたり、縦に流れたり」する場合は、「小型で九本足の12BH7」が怪しい。「固面の上下の幅をひろげる」役目がヘタってきているのではないか。

 ・・・などなど、主要な真空管を中心に、それぞれの役目と不調の原因をわかり易く解説していて、テレビが不調に陥ったら「とりあえず真空管を換えてみなはれ」といった論調なのだが、文末で「球の老衰から来るテレビの故障を直すことは、ちょっとしろうとの手には負えません」とくるからひっくり返る。

 結論は「生兵法(なまびょうほう)」はやめて、やはり信用のある修理業者に頼む方がよい」なんだと。

 大卒初任給1万7000円ほど。14吋のテレビで6万円近くしていた時代だから、今どきでいえば60〜70インチの4K液晶テレビの不調に対し、「とりあえずコンデンサーを換えてみなはれ」と言っているようなもの。だから、結論に納得。

画像:朝日新聞夕/昭和37年6月2日

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2015年12月05日

昭和乙ニュース(72)2バンド首振り式 昭和34年

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 昭和34年、大卒初任給は1万2000円前後。シャープの扇風機1万2300円也を買うには、ほぼ初任給1か月分が必要だった。

 今どきの大卒初任給は20万円弱だから、現在の価値に直せば扇風機1台20万円ということになる。最新エアコンが買える値段だ。

 ちなみに当時のクーラーがいくらだったかというと、日立「白くま」が22万円。今どきなら400万円ほど。能力は最大2200Kcal/h、木造建築6畳一間をしっかり冷やしてくれる優れモノだった。クーラーという名の通り、暖房は出来なかったけど。

 大々的に「2バンド首振り式」を謳っているが、従来からあった首振りを2段階に調節できるようにしたもの。「2・3人なら45度、大ぜいなら90度」にすればムダなく風が行き渡るというわけ。

 この時期、サマーセールを開催していたらしく、「扇風機1台お買上げの方に、蛍光灯つきデラックス洗たく機やお買上げ記念品が当る抽セン券進呈」なんだと。一体全体、「蛍光灯つきデラックス洗たく機」ってどんなモノなのだろ。洗濯機に蛍光灯スタンドを乗せたようなものなのか、それとも洗濯機本体が光るのか・・・残念ながら不明だ。

画像:朝日新聞夕/昭和34年5月23日

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2015年12月07日

昭和乙ニュース(73)し尿浄化そう便所 昭和37年

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 いくら戦時中とはいえ、出るものは出る。庭に埋められればいいが、それが出来なければ目黒川や神田川に流したり、中には側溝に流す強者もいたというから、東京都のし尿問題は危機を迎えていた。

 たまりかねた東京都は、昭和19年2月から35区の糞尿を糞尿貯留所に集積。西武鉄道の糞尿輸送用タンク車115輌に載せ、はるばる郊外に運ぶようにした。農地還元である。

 処理能力は1日当たり2万石(ドラム缶1万8000本分)。排出される糞尿は3万8000石だから、見事に糞づまりは解消。昭和28年3月まで続いた。

 同時に行われていたのが海洋投入。戦時中から戦後直後まで中断されていたものの、昭和25年から再開。同31年の「し尿処理基本対策要綱」で原則的廃止となったが、以降も細々と続けられていた。

 今どきの中高年なら、小学生の頃、社会の教科書に海洋投入の写真が載っていたことを覚えているだろう。青々とした海原に、黄金色の航跡がうねうねと続く光景だ。

 画像の「お知らせ」だが、告示される2年前の昭和35年、東京都清掃局は浄化槽普及のため<し尿浄化槽所設置資金貸付制度>をスタートした。4年後の同39年に開催される東京オリンピックを念頭に、くみ取り式便所じゃ恥ずかしいというわけだ。

「下水道のない地域に造る水洗便所」とあるように、浄化槽とは水洗便所から集めたし尿を衛生的に処理する装置のこと。一時貯留用の巨大なタンクを地下に埋めるだけなのだが、日本独自に発達した技術らしい。

 ボットン式から水洗式に代える場合、貸付額10万円。大卒初任給平均が1万7130円だったから、今どきの価値に直せば100万円ほどか。利率年6分5厘の5年間元利均等半年賦。

 おかげで昭和30年に9337基だった浄化槽が、同40年には5万7651基にもなった。全国規模では、昭和57年に412万基。2900万人が浄化槽式水洗便所の恩恵に浴したことになる。もっとも、平成19年に1121万人と減少しているのは、下水道の普及による。

 ところで「お知らせ」だが、「し尿」はいいとして「浄化そう」ではワケがわからない。東京都清掃局の小さな親切、大きなお世話だと思う。

画像:朝日新聞/昭和37年5月13日

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2015年12月09日

昭和乙ニュース(74)ヘソ論争 昭和43年

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 昭和38年、九州福岡の5市が新設合併して北九州市が誕生した。人口106万人の政令指定都市だ。<平成の大合併>のはるか以前、「複数の市が合併してできた市」は珍しかった。

 ところが「新しい市のヘソをどこにするか」で、ひと悶着。新市庁舎の場所が問題になったのだ。

 言い分は旧5市さまざま。

<やっぱ門司にしちゃってん><よーやない、どげん考えても小倉やろ><ちごうとる、戸畑のよかに決まっちる><なん言うてる、八幡ちゃろう><若松ばい。当たり前ん話ばしゅるな>

「議員の地域工ゴが優先し、それに保守、革新の政争がからんだ」からたまらない。

 すったもんだの挙句、ようやく「小倉のお城隣の公園」に決定。「北九州市が生れてから五年ぶり」のことだった。ところが新市庁舎は「三、四十億かけた高層ビル」になることが判明。しかも「建設費の大部分は借金」らしい。義憤を覚えた記者は、書き放つ。

 北九州市の現状は、「夏はきまって断水。町には犬がうろつき、空からバイ煙が降る。川は悪臭を放つドブ川で、下水は全市の一割ちょっと」なのに、そんなところに「“金殿玉楼”が建ったとしても、アンバランスが目立つだけではなかろうか」・・・ごもっとも。

 でも、結局のところ、北九州市役所本庁舎は昭和47年に竣工。延床面積4万3576u/鉄筋コンクリート構造、高さ70m/地上15階地下3階の巨大ビルとなった。住所は福岡県北九州市小倉北区城内1-1だ。

「借金のやり繰りに追われ<先楽後憂>に陥ることのないよう、くれぐれも望みたい」・・・ごもっとも。

画像:朝日新聞夕/昭和43年11月19日

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