2016年08月01日

昭和乙ニュース(188)列車の台所 昭和42年

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「急行安芸食堂車全焼事故」をふまえて書かれたコラム。その事故とは・・・

 昭和42年11月15日午前1時30分ごろ、東海道本線三河三谷駅あたりを通過中の急行「安芸」(14両編成)の食堂車(6両目)から出火。急停車ののち、食堂車部分を切り離したのだが、そのまま炎上。鎮火したのは同2時50分ごろだった。調理助手の男性と接客係の女性が死亡。石炭レンジの過熱が原因。

記者の怒り1 ・・・ 「火の扱い方」に問題あり。「国鉄の車両を借りる食堂業者」が「念には念を入れるべき」。

記者の怒り2 ・・・ 「石炭レンジに翌朝のミソ汁のダシ」をかけていながら、「三人の調理人、六人の女子従業員全員が寝てしまった」こと。「交代の不寝番を置く」のは「常織のイロハ」。あまりにも無神経すぎる。

記者の怒り3 ・・・ 「九人一組のチーム」のチーフに「火元責任者としての自覚」があったのか。

記者の怒り4 ・・・ 「食堂車従業員の勤務体制」に問題あり。「夜六時に乗車、十一時まで営業、翌日の準備をして仮眠、朝はまた六時から正午までの動務」は、女子従業員にとっては重労働ではないか。

 というわけで、怒りを込めて記者は以下のことを要望する。

1.国鉄は「食堂業者のあり方について徹底的な監査」の要あり。「業者の不始末」という言いわけは通用しない。
2.「石炭レンジを使う食堂車の廃止」を検討するべき。「車体の下にディーゼル発電機」を設置すれば「電気レンジに改良」できるはずだ。

 残念ながら、この事故から5年後の昭和47年11月6日、「北陸トンネル火災事故」が起きてしまった。大阪発青森行き急行「きたぐに」が北陸トンネル(全長13.87Km)内を走行中、食堂車(15両編成11両目)から出火。トンネル内であったことが災いし、30名(乗務員1名含む)が死亡、714名が負傷した。

 なお、直接の出火原因は不明だが、タバコの火の不始末、石炭レンジの残り火など、複数の節がある。今どきは食堂車を連結した列車も少なくなったし、石炭レンジも使われていないから、ちょっとだけ安心。

画像:朝日新聞夕/昭和42年11月16日

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2016年08月03日

昭和乙ニュース(189)外貨かせぎに大々的宣伝 昭和30年

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「東南アジア映画祭」とは、アジア映画製作連盟(昭和29年創設)が主催した映画祭。昭和29年、東京で第一回が開催されたのに続き、第二回はシンガポールで開催。その歓送会の模様を伝える新聞記事だ。

 参加国は「日本、フィリピン、タイなど九カ国」。日本は「八本の映画を出品」する予定で、「各国の中では一番の熱を入れている」状態。

 なぜ熱が入るかというと、「昨年(昭和29年)香港、台湾などに九十本が輸出され三十二万ドル(一億一千五百余万円)の外貨をかせいでいる」から。映画祭創設に深く関わった当時の大映社長永田雅一の海外戦略でもあった。

 集まった代表は「岸恵子、三船敏郎、山本富士子らスタアも十人」など。写真に写っているのは「左から松山大映製作本部長、城戸松竹社長、三原陽子、服部新東宝社長、小林とし子、岸恵子、久慈あさみ」。代表26人を「一千万円かけて」送り出すのだ。

 映画祭の結果だが、劇映画の最優秀作品賞(グランプリ)は大映映画『春琴物語』(主演/京マチ子、監督/伊藤大輔)。永田雅一の思惑通りだった。

 なお映画祭の名称は、東南アジア映画祭(昭和29〜31年) ⇒ アジア映画祭(昭和32〜58年) ⇒ アジア太平洋映画祭(昭和59〜現在)と変更されている。

画像:朝日新聞/昭和30年5月10日

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2016年08月05日

昭和乙ニュース(190)マンガは悪くない 昭和33年

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 発端は育児雑誌に掲載されたマンガに関するページ。松田道雄(医師・育児評論家/平成10年没)の結論は「マンガは悪くない」なのだが、今どきの視点から読むと、どこか的外れな擁護だがら面白い。

 子供が不良化するのはマンガが原因・・・育児雑誌に取り上げられた母親の意見だ。理由は「絵として低級」「下品な言葉が使われている」からだという。

 マンガ雑誌編集者は、児童文学が喜ばれないのは「子供の感情にぴったりしない」のが原因。子供にマンガがウケているのは「おとなが漫才、落語をたのしむのと同じ」なのだという。

 それに対して松田先生は、多くの子供に人気があることを無視して「低級だとか、愚劣だとかいっても、始まらない」。今の子供たちは「赤ん坊のときから映画やテレビをみて育った人間」で、「『赤い鳥』や『少女の友』を読んで育った人間とでは感覚がちがう」。

 だから「マンガならとびつく」のに、「親が買ってきた『児童文学』にはソッポむくというのはあたりまえ」なのだ。要するに「マンガというのは子供用のシナリオ」なのだから「それ自身悪ではない」。

 ・・・松田先生の意見はごもっともだが、続く言葉が面白い。マンガが悪く言われるのは「画がかけるというだけの才能の人が主にかいている」ことだというのだ。

 さらに、「日本の作家が怠慢で映画やテレビを研究せず、子供に冷淡でマンガの本など読まない」のが良くない。めぐりめぐって「いいマンガが生れない」ことにつながっている・・・というのが結論。

 おそらく、松田先生自身はマンガ本に興味がなかったのでは。今どきの中高年が子供時代に夢中になったマンガが、「画がかけるというだけの才能の人が主にかいている」とは思えないからだ。

画像:朝日新聞/昭和33年5月31日

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2016年08月07日

昭和乙ニュース(191)映画の三本だて 昭和29年

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「映画の三本だて」についてどう思うか・・・調査したのは「世田谷の婦人団体連盟」。対象は「同地区の小学六年生と中学生男女各千名」。

 結果は、「どちらでもよい」は約半数。「悪い」が小学生で一九%、中学生で四○%。「悪い」理由は、「頭が痛くなる」「時間がムダ」「映画が下品だから」「空気が悪くなるから」「つかれるから」の順。

 ・・・今どきの中高年なら「どちらでもよい」というより、「良い」のほうが多いと思うのだが、「悪い」と考える小中学生が多数なのに驚く。

 記者は小中学生の「悪い」に同調。「換気装置も不十分な映画館」で三本だてはキツイ。「大人でも大抵くたびれてしまう」からだ。業者のやり口も問題。三本だては「必ずしも利益とは思われないやり方」だと思う。やるんなら「それだけの衛生施設を考えるべき」なのだ。

 矢面に立った映画興行者は、原因は映画製作者だという。「競争で数ばかり沢山つくって、常設館に押しつける」のがいけない。

 それに対し製作者側は、「とんでもない、数は少なくても良い映画をつく りたいのだが、二本だて、三本だての要求が多くて、ついに粗製乱造にもなる」。

 そして、記者のまとめの意見。

 さまざまな意見があるにしても「見に行く側にも、全く責任がないとはいえまい」。三本だてが好ましくないという結論なら、「子供を見せにやらないことも大切」。そうすれば「業者をして改めさせ、自粛させる一つの道」になる。

 ・・・と、いつもの朝日節。

画像:朝日新聞夕/昭和29年12月3日

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2016年08月09日

昭和乙ニュース(192)教科書を無料で配る 昭和32年

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「教科書無償給与制度」が確立するのは昭和38年。それ以前は、記事にあるように「就学困難な児童のための教科用図書給与法改正案」(昭和31年)が、翌32年に中学校にも拡充されるようになった程度。

 要するに、直接、市町村が保護者に対して教科書費を給与する場合、「国から補助しまっせ」ということ。

 記事によると、昭和31年度は「準要保護家庭の児童二十一万五千人(全小学生数の一・ 七%)に無償給付」したが、32年度は「小学生二十四万五千人、中学生十万五千人(いずれも全学童数の一・九%)」に拡大。

 どのくらいの予算が必要になるかというと、「一人当りの教科書代は小学生五百八十四円、中学生九百十円」で、そのうち「八割を国がもち、残り二割は市町村で負担」するから、国が1億9090万4000円、市町村が4772万6000円ということになる。国家公務員の初任給が9200円だった時代である。

 それでも、この恩恵にあずかることが出来ない子供が「全学童数の二%(小学校で約二十五万人、中学校で約十万人)」も残されることになる。

画像:朝日新聞/昭和32年2月5日

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