2017年07月03日

昭和乙ニュース(281)頭にキタ男女同権 昭和23年

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 平和憲法のもと、男女同権に対して「頭にきた」のではなく、女性専用だと思われていた美容院のパーマが「(男性の)頭に(まで流行がやって)きた」というお話。

 今どきのコールドパーマとは異なり、当時のパーマは薬剤を塗った髪の毛にクリップを巻き付け、そのひとつひとつを電気コードでつなぐ加熱式・・・いわゆる「電髪(でんぱつ)」と呼ばれていたもの。

 薬剤+熱の相乗効果でクルクルパーマというわけだが、クリップと配線の重さは尋常ではなく、さらに熱による毛髪の損傷もあったそうだから難行苦行そのもの。女性なら「そんなの当たり前」なのだろうが、「修験者でもあるまいし」と思うのが男性だった。

 ところが、そんな修験場に男性が出入するようになったから一大事。頭髪全体にパーマをかけるのではなく「男はパーマネントで前がみを立てる」だけの「前がみパーマ」なのだが、それでも写真のような修験者状態となる。

 髪型には「ふくらせ式」と「ちぢらせ式」があって、いずれも料金は「百五十円が相場」。女性の半額ほどらしいが、当時の物価は封切り映画40円、コーヒー20円、米10キロ222円だったから、かなりお高い。

 とはいえ、男性客を迎え入れる美容院は「毛は短くても御婦人方と同じ手がかゝります、半額じや引合いません」とボヤき節。

 それに対し「電髪男」は「男女同権だ。電髪を女に独占させる手はないよ、第一、百五十円かけりやパナマは買わなくてもすむし安あがりだゼ」だと。※パナマ=パナマ帽。夏用つば付き帽子のこと。

 今のところ「銀座あたりの一流店にはあんまり現われない」ものの、「場末の美容院」には「日に必ず二、三人ぐらい」が「パイプなどくわえてズイと入つて来る」というから、記者が「東京の流行になる形勢」と書くのもうなづける。

 ところが昭和20年代後半になるとコールドパーマが普及し始め、電髪は衰退。残念ながら、電髪男の前がみパーマは流行らなかった。

画像:朝日新聞/昭和23年5月20日

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2017年07月21日

昭和乙ニュース(282)遠足のバス代盗まれる 昭和43年

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 幼稚園、保育園専門のドロボーが「幼保専門ドロ」。狙われるのは現金が眠っている事務所の金庫。防犯意識が希薄なため、無人となる夜間に忍び込むのは容易らしい。

 大阪府警によると、昨年1月から同4月末までの間、府内の幼稚園、保育園で現金などが盗まれる事件が約400件も発生し、被害総額は約600万円相当に上っているという。無人となる夜間、窓ガラスを割って侵入というのが手口。

 本年3月には大阪府高槻市の保育園で30万円が盗まれた。事前に防犯カメラのケーブルを切断するという用意周到なドロぶり。また、同5月にも京都府舞鶴市の幼稚園で盗難事件。事務所にあった金庫が盗まれのだが、中には園児の名前や住所が書かれた名簿約90枚や現金数万円が入っていたという。

 さて、今から49年前の昭和43年。「小型ロッカー」から「現金七万円」が盗まれたのは東京都港区飯倉の区立麻布幼稚園。今どきは住居表示が変わって港区麻布台となったが、都内の一等地にある幼稚園であることには変わりない。

 だからドロボー効率はバツグン。麻布部署によると、被害にあった「現金七万円」の内訳は「遠足のバス代金 園児百六十人分 一万八千円」「教材費」「PTA会費」など。大卒初任給が3万円弱だった頃だから、今どき換算すれば50万円ほどになる。

 最近の「幼保専門ドロ」と異なるのは、園児名簿のようなものには目もくれなかったこと。名簿に価値があるようになったのは、いつ頃からなのだろうか。

画像:朝日新聞夕/昭和43年5月21日


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2017年07月23日

昭和乙ニュース(283)廿日から地下鉄東京駅 昭和31年

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 地下鉄丸ノ内線「淡路町−大手町−東京」(1.4キロ)の建設工事が完成し、試運転が始まったことを知らせる記事。

「池袋−御茶ノ水」(6.4キロ)は昭和29年に開業。さらに「御茶ノ水−淡路町」(0.8キロ)は同31年3月に開業しているから、これで「池袋−東京」が地下で結ばれたことになる。

 地下鉄丸ノ内線「池袋−東京」の所要時間は「十六分三十秒」。「国電の二十四分」「都電の四十分」とくらべて大幅な短縮となり、おまけに「ラッシュ・アワーには四両運連結三分間隔、昼間は三両連結四分間隔で運転」とある。

 この記事が出る前年(昭和30年)が都電の最盛期。40路線(総営業キロ約213キロ)、1日約174万人が利用していて、いわば都市交通の要(かなめ)だった。

 ところが東京オリンピック(昭和39年)の開催が近づくとともに交通渋滞が慢性化、ついには都市交通が機能不全に陥るのではないかと危惧されるようになった。

 結局、地下鉄丸ノ内線の全線開通(昭和37年)にともない都電杉並線は廃止。以降、廃止が続き、同49年には都電荒川線だけを残すだけになってしまい、1日平均利用者数は4.6万人。

 一方、今どきの東京は地下鉄13路線(総営業キロ302キロ)、1日平均利用者数は約966万人にもなるそうだ。

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▲青=都電17系統、赤=地下鉄丸ノ内線。

画像:朝日新聞/昭和31年7月6日


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2017年07月25日

昭和乙ニュース(284)“カタズをのむ”食べ方教室 昭和26年

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 昭和26年6月に開催された「国際的作法の講習会」のお話。なんだか難しそうだが、要するに「洋食の食べ方など」を教える講習会・・・テーブルマナーね。

 東京商工会議所ホールに集まったのは「オフィスガール約三百名」。この頃はビジネスガール(BG)と呼ぶのが一般的だったのだが、あえてOGとはシャレている。ちなみに、オフィスレディ(OL)が一般化するのは13年後の昭和39年あたりから。

 手前のテーブルで「スープをすすり、フォークをとる」のは、「山路さん(二一)=元ブルガリア公使令嬢」と「田口さん(二四)=元正金銀行ベルリン支店長令嬢」。ふたりとも「子供の時からあちらで育った」から「洋食の食べ方」はお茶の子さいさいというわけ。

 講師を務めるのは「ワシントンハイツ婦人部支配人大島女史」。「ワシントンハイツ」とは、戦後、進駐軍が東京代々木に展開していた軍用地のこと。兵舎や家族用住居宿舎などが立ち並んでいた。「婦人部支配人」という肩書がよくわからないが、ともかく進駐軍のことならお茶の子さいさいという方だったのだろう。

 それにしても、令嬢二人の食事風景を「オフィスガール約三百名」が環視するというのは愉快。食べる方は気もそぞろ、「講習生の方もタメイキをつき、生ツバをのみながらノートをとる」。

 結局、「それでもひとかどの”洋食通”となって夕方散会した」とあるが、ホントかな。他人の食事風景を見ただけで”洋食通”にはならないと思うんだが。

画像:朝日新聞/昭和26年6月3日

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2017年07月31日

昭和乙ニュース(285)脱税法人 追徴金三百九十億円 昭和44年

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 国税庁による査察結果が発表された。調査(昭和43年7月〜同44年6月)されたのは「脱税の疑いがある約十四万九千」の法人。当時、全国に「約九十九万の法人」があったから、およそ15パーセントが査察を受けたのだ。

 それによると、不正発見の割合が大きかったのは「飲料店」。なんと「調査対象の四○%」がアウト。ついで「建設業の三十六%」。

 申告もれの実態は「不正申告や計算違い」(約十一万二千件)および「故意の不正計算」(四万七千件余り)。前者のもれ総額は「二千六百五十六億円」で追徴金「七百八十二億円」。後者のもれ総額は「一千三十一億円」で追徴金「重加算税を含めて三百九十二億円」也。

 たとえば「東京のキャバレー」の場合、酒屋を巻き込んで仕入金額を水増しし、さらに客の売り上げから除外。その結果、ごまかした所得は「三年間に三千六百万円」。

 建設業界で多かったのは「労務費などで架空の領収書をつくり、原価を水増し」する手口。「東京の大手業者」の場合、「申告所得二十九億円に対し二億三千四百万円のもれ」が発覚。「追徴金八千五百万円」となった。

 さて今どきはどうか。国税庁による『平成28年度 査察の概要』によると、同年、査察調査に着手した件数は178件。脱税額は総額161億円(告発分は127億円)、事案1件あたりの脱税額は9600万円だった。昭和44年とくらべて脱税額が圧倒的に少なくなっているものの、1件あたりの脱税額が大きくなっているのが特徴。

 また、告発された査察事案で多かった業種は「建設業」が30件でトップ。続いて「不動産業」が10件。昭和44年当時にはなかった事案に「消費税事案」(告発件数23件)、「国際事案」(21件)、「太陽光発電関連事案」(告発件数10件)、「震災復興関連事案」(告発件数12件)などがある。

 気になる「脱税によって得た不正資金(現金)の隠匿場所」は以下の通り。
・居宅押入れの可動式床の床下に存在した金庫の中
・居宅敷地内の蔵の段ボール箱の中
・居宅のタンスの中及びタンスの前に存在したボストンバッグの中
・事務所の商品搬入用エレベーターと壁の隙間の段ボール箱の中

 一度でいいから、隠匿する場所で悩んでみたい。

画像:朝日新聞/昭和44年9月25日


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