2018年01月09日

昭和乙ニュース(304)ソバ屋の好景気も一休み 昭和25年

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 昭和25年11月16日、東京の朝は凍るように寒かった。気温「氷点下四分」、「記録破りの“寒波”」が襲来したのだ。北海道の一部では「氷点下十数度」を記録したらしい。

 おかげで「大モテ」となったのが「あちこちに復活した“流しソバ屋”」。要するに屋台のラーメン屋。戦後、区画整理を余儀なくされた闇市から飛び出した露天商が「同業者」だ。

「中央気象台」によると、「シベリアの冷めたい風」は収まり、17日の午後からは「温度が上がり気味」になるという。「はげしい寒暖をくりかえして本格的な冬」となるわけだ。

 今どきはどうか。気象庁が作成した『東京における日最低気温0℃未満(冬日)の日数』によると、冬期間中(平成28年10月〜29年4月)に氷点下を下回ったのは8日だけ。ちなみに昭和25年〜26年は53日もあった。

 ユニクロの極暖下着を身に着けて外出すると、すぐに汗まみれになるのは当たり前。今どきの東京は、それほど寒くはないのだ。チャルメラも聞かなくなって久しい。

画像:朝日新聞/昭和25年11月17日

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2018年01月13日

昭和乙ニュース(305)新春のお支度 昭和26年

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 箪笥に火鉢、座卓に座布団・・・「新春のお支度」なら「東横」におまかせ。昭和26年暮れ、東横百貨店の新聞広告。

 今どきのIKEAやニトリなどとは異なり、漢字名ばかりの調度品の数々にめまいがしそうなので、いくつかに注釈を付けてみる。

【欅座卓(2・5尺角)・・・3500円】
 ケヤキの座卓。76センチ角正方形だから、それほど大きくはないが、公務員の初任給が6500円ほどだったことを考えると、かなり高価。今どきでもケヤキは高いけど。

【立流し(トタン張)・・・1850円】
「座り流し」よりも疲れにくいのが「立流し」。かがんだりしゃがんだりせずに水作業ができるから効率アップ。

【信楽焼火鉢(尺三上製)600円の品を・・・450円】
 設楽焼の火鉢。直径が一尺三寸(39.39センチ)だから尺三。使用するには、灰に五徳に火箸が必要。

【楢こたつ盆・・・650円】
 ナラ材のこたつテーブル。要するに天板だが、平らではなくお盆のような形状。もちろん電気ごたつではなく「櫓(やぐら)ごたつ」だから大きくはない。

 なお「渋谷 池袋 東横」とあるのは、当時、東横百貨店は渋谷だけでなく池袋西口駅前にもあったから。ただし、昭和30年代後半、東武会館の進出によって池袋店は消滅。東武百貨店池袋店になってしまった。

画像:朝日新聞/昭和26年12月25日

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2018年01月15日

昭和乙ニュース(306)米国へ攻勢 にっぽんカー軍 昭和46年

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「海上自衛隊の艦船」ではなく、「巨大な日本の自動車運搬船」がアメリカに攻め込んでいる・・・という書き出しは朝日新聞らしくて微笑ましい。

 攻勢をかける「にっぽんカー軍」の勢力は「日産十隻。トヨタ十二隻。東洋工業五隻」。「平均二万トン」で総トン数「五十余万トン」。一隻当たり「二千台前後」積むことができるという。総トン数は「世界一」らしい。

 それでも「輸出量の二○%しか運べない」ほど「輸出が絶好調」。「西海岸へ往復するには約五十日。パナマ経由の東部は八十日かかる」から、専用船はいくらあっても足りない。

 というわけで豪州・欧州向けには「ノルウェー船を安く契約してピストン輸送」。「輸出NO1のトヨタ自販」などは、「年内に、もう四隻はつくります」と強気。ちなみに一隻「二十億円」也。

 そんな状況を「ニューズウイーク誌五月三日号」は、「国産自動車の対米輸出が急激にふえ、デトロイト(米国の自動車業界) をふるえあがらせている」とレポートしているのだが、日本側はどこ吹く風。

「日本車に対抗するため、デトロイトはベガ(GM)、ピント (フォード)をつくったが、案外たいしたことないですな。米国の需要は大きいから、まだまだコンパクトな日本車はのびますよ」 と日産。

 さらに「日本のメーカーは、まだ底力がない。外見は、はなやかで、米国に攻め込んだ感じをもたれるが、コンパクトカーをほしがっている米国のユーザーに奉仕しているので・・・」だと。

 ニューズウイーク誌は同じ誌面で「なにしろ、わが方のメーカーが対日上陸しようとしても、資本の出資は半分しか認めない。輸出すると、日本の関税は米国の三倍近い。こうハンディがついては、フェアな競争じゃない。やがてフォルクスワーゲンを抜くだろう。自動車のニッポン海軍は恐ろしい」と意見。

 のちに、日本車の海外輸出超過は政治問題化し、日米自動車摩擦となるのだが、この頃の日本側には深謀遠慮のかけらすらなく、いけいけどんどんだったことがよくわかる。

画像:朝日新聞/昭和46年5月5日

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2018年01月17日

昭和乙ニュース(307)新書出版はもうかるか 昭和30年

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 新書ブームが起こったのは昭和29〜30年にかけて。角川新書、河出新書、カッパブックスなど、90種もの新書が創刊されたというから壮観。

 その状況に、「うまく売れてもモウケは大したことはない」ということになれば出版不況の再来になるかも・・・と老婆心を出しまくっているのがこの記事。題して「新書出版はもうかるか」。

 書き出しは苦言から始まる。・・・だいたい「新書」とはいうが、「本来の意味を忠実に守って」などいない。「書きおろしの新稿だけ」だと思ったら大間違い・・・・などなど。

「雑誌をひつくりかえして、面白そうな連載ものでもあれば早速とびつく」のはいいほうで、「単行本で売れなくなったものを染めかえ」たり、あるいは「おカン(燗)のしなおし」をして「新書」でございとなる。

 さらに、新書は安いと思われがちだが、実は安くない。「買いやすい」ことと「(小さな文字がギッシリつまった)文庫本からの類推で、安い、とサッカクする」だけだと断言。

 で、結論。このところ用紙の値段が上がり気味。となると、新書が売れても「モウケは大したことはない」となりかねず、そうなれば「出版屋の苦しい時期が、もう一度やってきそうだ」と結んでいる。

 出版の手の内を明かしつつ、実情を分析するあたり好感が持てるが、つい最近も出版社の台所事情を元に、公共施設にクレームを出した出版社社長が登場したのは記憶に新しい。

 文芸春秋の松井清人社長が「図書館での文庫本の貸し出し中止を求める意見」を表明したのは昨秋。同社では、文庫本が売り上げの3割を占めているものの、このところ売り上げが減少気味。原因は、文庫を積極的に貸し出す図書館が増えてきたことではないか・・・と疑ったのだ。

「文庫市場の低迷は、版元にとっても作家にとっても命取りになりかねない重大事」・・・というわけで公共図書館に対し「どうか文庫の貸し出しをやめてください」と訴えた。

 日本にある公立図書館は約3280館。年間の貸出冊数は、個人・団体含め約9憶4652万冊・・・結構、文庫本問題は深刻かも、と思ってしまうが、今から15年前、同じように問題提起した日本文藝家協会の件もあるから、実際はどうなんだろ。

 日本文藝家協会は、「図書館はベストセラーを何十冊も複本購入している。したがって本来売れるものが売れない」と言い放ったのだが、書協と日図協が調査した結果、ベストセラー本の図書館購入数は予想外に少なかった。というより、図書購入費の削減という憂き目にあっている図書館が大半だったのである。

画像:朝日新聞/昭和30年5月30日


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2018年01月21日

昭和乙ニュース(308)これは暖かい 昭和25年

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 昭和25年11月27日、「正午の東京は十四度」で「平年より七度も低かった」。急な冷え込みに、街行く人の装いも防寒対策万全。

 それを商機ととらえたのが「銀座のストーブやさん」。「宣傳とサーヴィスをかね」て街頭に「ガス・ストーヴ」を並べた。つまり街頭ストーブ。

 もちろん「手を暖めるため立止る人は多かった」のだが、写真を見る限りではサラリーマンとBGが中心。「これは暖い」と絶賛だったものの、「これください」とはならず、ストーブやさんの目論見は大外れ。

 なにしろ「お値段が一万円」の「ガス・ストーヴ」。銀行員の初任給が3000円ほど、お米10キロ445円の時代だったから、たかが暖房に1万円など払えるはずもない。

 ちなみに当時のストーブはスケルトン式。土器製のスケルトンにガスバーナーの火炎を当てて赤熱化、その輻射熱で暖める方式。すでに大正の終わりごろから国内で生産されていて、昭和45年ごろまで販売されていた。

画像:朝日新聞/昭和25年11月28日

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