2018年06月05日

昭和乙ニュース(340)競輪でスって自殺図る 昭和26年

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 妻が臨月をむかえたため、「何とか一もうけしよう」と考えた男(三五)が「朝から競輪」へ出かけた。2年前(昭和24年)に開設された後楽園競輪場だと思われる。

 ところが好事魔多し。「半日で所持金をすっかりスッて」しまったからさあ大変。「妻に会わす顔もない」というわけで、男が選んだのは自殺。死地は人目に付きにくい「港区芝公園一号地」。

 都電2系統に乗って後楽園前から芝公園。30分もあれば到着するが、所持金なしの身の上に乗車券8円也はムリな相談。多少、遠回りをしたって10キロを超えない距離だから、歩いてみよか。

「クレゾール」を飲んで苦しんでいる男を「通行人が発見」したのが「午後四時ごろ」。やっぱり歩いたのだ。幸いなことに、男は「済生会病院」に収容されて「生命は取りとめた」。

「クレゾール」はクレゾール石鹸液のことで、クレゾールを42〜52%含有する消毒薬。経口推定致死量は180〜250ミリリットルだが、飲んだとたんに食道から胃、腸へと焼けただれていくから、ゴクゴクとは飲めぬ。

 愛宕署によると、男が「競輪に出かけて間もなく」、妻は「産気づき長男を産み落とした」らしい。「Xマス・イヴ」なのに、男は「病院のベッド」、妻は「初産の床」で「泣きつゞけていた」という。

 ちなみに後楽園競輪場は、昭和42年に東京都知事に当選した美濃部亮吉により、同47年10月に廃止。跡地に東京ドームがつくられた。

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▲芝公園一号地。※国土地理院空中写真(1945〜1950年)

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▲国土地理院/電子国土基本図(最新地図)

画像:朝日新聞/昭和26年12月25日

posted by sankiyou at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 昭和乙ニュース
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