2013年05月15日

銀ぶら讀本(01)  百円から千円までの銀ぶら / 彼女と二人で千円 (昭和31年)

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 昭和31年発行の『銀ぶら讀本 巻の1 遊びの知識』(銀座タイムス社/定価100円)は、岩波新書サイズ80頁ほどの小冊子。著者は銀座タイムズ社社長の中野日出男さん。
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 まえがきに『銀ぶらを楽しいとする人々、これから銀ぶらを楽しもうとする人々に贈る』とあるから、要するに銀座ガイド本なのだが、写真図版類はなく、活字二段組のシンプルな造りだから、今風のガイド本に慣れた今の人には、まったく楽しさが伝わってこないから愉快。

 でも、書かれている内容は、気取った解説になりがちな銀座を相手に、当時の若者あるいは安月給のサラリーマン目線を保ちつつ、隅から隅まで懇切丁寧にガイドしているから、楽しさ超満開。

 喫茶店や飲食店、映画館はもちろん、キャバレーやバー、アルサロなど、遊び方から料金、連絡先など、微に入り細を穿った情報は、中野さんが『いうなれば銀座のバイブル』と云いきっているのもうなずける。

 さあ、『銀ぶら讀本』片手に、昭和30年代の銀ぶらと洒落てみましょう!

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彼女と二人で千円

 早朝興行の映画(百五十円、プロ代三、四十円)をみると、お昼ごろ第一回が終る。うなぎ丼(百円)で昼食をとり、暫らく銀ぶらして喫茶店(珈琲七十円)に入り休息する。

 そして帰えりには家族に土産のケーキ(百五十円)を買つて帰える。この合計五百円前後の銀ぶらも楽しかろう。

 ところで、これが若し、彼女と一緒なら土産のケーキ(二百五十円)は彼女に持たせて帰せば千円でどうやら間に合うというわけである。

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 現在、同じコースで銀ぶらすると、映画の早朝興行はないから通常料金の1800円、プログラム(パンフレット)代800円、うなぎ丼1500円、コーヒー500円、土産ケーキ1000円のふたりで計1万200円。プログラムをやめても8600円也。

 60歳以上あるいは夫婦割りで1000円の映画をみて、プログラム買わず、さくら水産銀座三丁目で500円定食、銀座一丁目のマックでプレミアムコーヒー(S)100円、お土産は銀座コージーコーナーでジャンボシュークリーム115円。

 となると、ふたりで計3355円也。あまり銀座らしくないけど。

 昭和31年の大卒男子事務系の初任給が1万2800円。今どきは、その15〜20倍とすると、当時の1000円は今の1万5000〜2万円。う〜ん、今どきのほうが安上がりかも。


引用データ:『銀ぶら讀本 巻の1 遊びの知識』(中野日出男著/銀座タイムス社/昭和31年6月10日発行)

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2013年05月16日

銀ぶら讀本(02)  百円から千円までの銀ぶら / 生ビール飲んでも (昭和31年)

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 昭和31年発行の『銀ぶら讀本 巻の1 遊びの知識』(銀座タイムス社/定価100円)は、岩波新書サイズ80頁ほどの小冊子。著者は銀座タイムズ社社長の中野日出男さん。

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生ビール飲んでも

 映画(二百十円プロ代三、四十円)を午後から見ることにして、正午銀座で天丼(百円)をたべる。

 映画のあと喫茶店で珈琲(六十円)かアイスクリーム(五十円)で寛ろぐ。帰えりに羊かん(百五十円以内)の一本でも土産に買つて行く。合計五百四、五十円。

 また昼食後、偏然顔見知りの友達(女の友達ならさらに申分なし)に出合ったら、失礼のないように映画に誘つて、あとで一緒にお茶を飲んでもこの友だちの分(映画二百十円プロ三、四十円、珈琲、又はアイスクリームで五、六十円)を持つてあげて八百円程度。

 千円あれば、別れての帰途生ビール(百円)の二杯は飲める。

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当時、映画のプログラムを買う人は多かった。映画代210円に対し30〜40円だから、現在に直せば1800円に対し260〜350円。それほど財布に負担がかからないから「記念に買っとこ」ということになる。

 今はどうだ。プログラムと云わなくなり、「パンフレット」に大変身したおかげで600〜800円。ときには1000円を超えるモノもあり、お気軽さはない。要するに、当時はコーヒー代でプログラム、今はラーメン代でパンフレットか。

 それにしても『偏然顔見知りの友達に出合ったら、失礼のないように映画に誘つて』というのは、どういうことだろう。丁寧に映画に誘うのか、あるいは映画に誘わないことが失礼に当るのか不明だが、いい時代であったことには間違いない。

 広告画像「森永アイスクリーム」は、何がスウェーデン風なんだろうか。ミルクとバニラの味なのか、あるいはカップに入っているところか。これまた不明。わかっているのは、当時の子どもの小遣いは1日5円が相場だったから、20円のアイスは買えなかったこと。

引用データ:『銀ぶら讀本 巻の1 遊びの知識』(中野日出男著/銀座タイムス社/昭和31年6月10日発行)
参考データ:森永アイスクリーム/『朝日新聞』(昭和31年5月30日)夕刊

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2013年05月17日

銀ぶら讀本(03)  百円から千円までの銀ぶら / 映画みて三百円で (昭和31年)

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 昭和31年発行の『銀ぶら讀本 巻の1 遊びの知識』(銀座タイムス社/定価100円)は、岩波新書サイズ80頁ほどの小冊子。著者は銀座タイムズ社社長の中野日出男さん。

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映画みて三百円で

 午後の銀座で、映画(プロ共二百四、五十円)を見て、珈琲(五十円)をのんでデパートを一廻りして帰えれば三百円で結構銀ぶら気分を味える。

 また、珈琲(百円)代をふん発してクラシック音楽を楽しんで帰えれば、銀ぶら二、三十分で、何となく生活が豊かになつたような気分になれる。

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 安上がりな銀ぶら。『デパートを一廻り』はグッドアイデアだ。当時、銀座には松屋、三越、松坂屋のビッグスリーが鎮座していて、さらにこの年、新たに数寄屋橋阪急がオープンしたから、一廻りは一日がかりになりそう。

 デパートの屋上に遊園地があるのが当然の時代だったから、晴れていれば屋上散策も出来るし、喫茶店でコーヒーを飲む代わりにソフトクリームをなめてもいい。

 とはいえ、広告を見ても分かるように、デパートの閉店時間が「平日6時 土・日・月6時半」だったから、のんびり一廻りはムリそう。

引用データ:『銀ぶら讀本 巻の1 遊びの知識』(中野日出男著/銀座タイムス社/昭和31年6月10日発行)
参考データ:銀座松屋/『朝日新聞』(昭和31年9月13日)夕刊

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2013年05月18日

銀ぶら讀本(04)  百円から千円までの銀ぶら / 百円で銀ぶら気分 (昭和31年)

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 昭和31年発行の『銀ぶら讀本 巻の1 遊びの知識』(銀座タイムス社/定価100円)は、岩波新書サイズ80頁ほどの小冊子。著者は銀座タイムズ社社長の中野日出男さん。

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百円で銀ぶら気分

 銀座というところは金を持つて出ればそれなりの楽しさが味えるだろうが、ふところに百円札一枚しかもつていなくても、それはそれなりに銀ぶら気分になれる。

 美しく飾り立てられた飾窓に季節の新鮮感を楽しみ、或はトップモードに着飾つた行ぎづりの人たちに淡い羨望と夢を描く。

 喫茶店での少時の憩いのあと、三十円のニユース劇場に新らしい見聞を求めて寛ろぐのも、百円札の効用範囲で出来る楽しみであろう。

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 もっとも安上がりな銀ぶら。早期興行の映画は150円が相場だったから、『百円札一枚』ではコーヒー2杯飲んだらおしまいという金額。

 今どきに直せば1000円札+500円玉となるが、映画なら「シニア」あるいは「夫婦50割引」で1000円でみることが出来るし、帰りがけにマックに寄ってハッピーセットを注文すれば500円でお釣りがくる。薄いサイフでも、今どきのほうが有意義に過ごすことが出来る。

 時計店や装飾店など、銀座には『美しく飾り立てられた飾窓』が多いから、まるで巨大な3D画廊。さらに街ゆく人々がお洒落なのは今も昔も変わりなし。『淡い羨望と夢』を描くことはないけれど。

「全国レインコートまつり」の主催者は東京雨衣協同組合と雨衣同業会。いずれも現在は存在しておらず、代わって日本雨衣連合会(15社/昭和49年設立)がある。

 ところで「雨衣」だが、「うい」と読むのか「あまぎ」と読むのかどっちだろ。海上自衛隊では「あまい」らしい。洋傘店で「あめころも」と読ませるお店があったが、いずれも聞いただけでは意味不明だからおもしろい。

引用データ:『銀ぶら讀本 巻の1 遊びの知識』(中野日出男著/銀座タイムス社/昭和31年6月10日発行)
参考データ:東京雨衣協同組合/『朝日新聞』(昭和31年2月28日)

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2013年05月19日

銀ぶら讀本(05)  百円から千円までの銀ぶら / 三百五十円で一杯 (昭和31年)

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 昭和31年発行の『銀ぶら讀本 巻の1 遊びの知識』(銀座タイムス社/定価100円)は、岩波新書サイズ80頁ほどの小冊子。著者は銀座タイムズ社社長の中野日出男さん。

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三百五十円で一杯

 ゆうぐれの雑沓をのがれてビルの地階の酒場で、とんかつ(五十円)のつき出しを奮発して一級酒(百円)の二、三本を飲んで、いい気持になれれば三百五十円で済む。

 スタンドバーのハイボール(五十円)も、ストレート(四十円)も格安に酔いを誘うし、そのあと、アルバイトサロン(一人最低六百円まで)で、乙女の純情にふれて、ダンスの一曲を踊つても干円あれば事足りる。

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 蕎麦なら30〜35円で済むけれど、とんかつ50円を奮発。一級酒は1升(1.8?)835円だったから、お店で飲む1合(180cc)が100円というのは良心的かも。

 いい気持ちになって計350円とあるが、下戸だったら鰻重350円でいい気持ちになれる。

 平成の若者はウィスキーを飲まないらしいが、昭和の若者にとって酒場に入ることは大人になるための通過儀礼のようなものだったから、比較的安価で飲むことができるスタンドバーは大繁盛した。飲みやすいハイボールとかコークハイを注文する人が多かったけど。

 寿屋(サントリーの前身)の「トリス」は1本(640ml)300円。飲むとハワイに行けるようになるのは、4年後の昭和36年。トリスバーが流行ったのもこのころで、いまだに健在だからすごい。

 異なるのはハイボールの値段。今どきなら、雰囲気の良いお店でも200円なんてとこがあるから、酒好きは平成のほうが生きやすい。

 広告のコピーは『会社の帰りや散歩のついでにちょっと一ぱいお茶がわり・・・というのが今の流行でどこのトリスバーもハイボール党で満員というありさまです』。トリスでつくるハイボールを大阪では「トリハイ」、東京では「Tハイ」と呼んだらしい。


引用データ:『銀ぶら讀本 巻の1 遊びの知識』(中野日出男著/銀座タイムス社/昭和31年6月10日発行)
参考データ:サントリー株式会社/『朝日新聞』(昭和31年1月29日)夕刊

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