2013年01月10日

昭和の新技術(01) 新開発ラヂオヒーター


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  巻頭のラヂオフォトニュースは「ラヂオヒーター」の特集。ラヂオヒーターとは高周波加熱装置のことで、要するに電子レンジのこと。でも調理用ではありません。なんとベニヤ合板の製造工程用に開発されたモノなんです。

 ラジオのキャビネットなどに使われるベニヤ合板を製造するには、断裁した木材を屋外に山積みして3〜4カ月ほど自然乾燥したのち、ニカワなどで化粧版を張り付けプレスするのが従来の方法。ところが板が完全に接着するまでにはかなりの時間を要し、ベニヤ合板製造のネックとなっていました。

 で、ラヂオヒーターの登場。その威力は強烈で、ものの数分で従来の工程を終えることができるようになったのだそうです。記事によると、将来は成型合板の接着のほかに、「木材乾燥」「食品加工」「殺菌」「殺虫」「処理油脂の抽出」「精製」「殺蛆」「養蚕」「医療」に使われるようになるだろうとありますが、まさか「チン」と呼ばれる台所用品になるとは想像もつかなかったでしょうね。

引用データ:『ラジオアマチュア』2月号/科学出版社/昭和24年2月1日発行

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2013年01月11日

昭和の新技術(02) ポータブルラジオとピーナッツ管


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 妖艶なお姉さんが手にするのはポータブルラジオ。要するに携帯ラジオだが、まだトランジスタが世に出る前なので、ハンドバックほどの大きさだ。それでも当時としては驚異的なサイズで、携帯性を実現するために涙ぐましい工夫がなされていた。

 たとえば、使われている真空管は親指大の「ピーナッツ管」と呼ばれる最新式のモノ。それを67.5ボルトのB電池(大型の積層タイプ)で駆動した。さすがに電池の小型化はできなかったようで、ラジオ本体の3分の1から2分の1ほどが電池室だったのはご愛嬌。

 ナス管から始まった真空管がST管となり、GT管、ミニチュア管、ピーナッツ管という進化をたどるのだが、要するに従来使われていた部品などをそのまま小さくすることに血道を上げていたのだ。技術革新の途上にみられる特有の現象といっていい。

 ところが6年後の昭和30年8月、東京通信工業(現ソニー)が日本初のトランジスタラジオ(携帯型5石スーパー)を発売したことによって、真空管の技術革新は瓦礫のように崩れ去ってしまった。

引用データ:『ラジオと音響』3月号/オーム社/昭和24年3月1日発行

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2013年01月12日

昭和の新技術(03) フィルモン式録音再生


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 フィルモンとは、フィルムフォーンから命名された言葉。つまり「帯状のフィルム(音帯)を、切れ目のないようコイル状に捲いて、円盤式のレコード数枚に相当する長時間録音するもの」だった。

 雑誌表紙で女性が操作しているのがフィルモン式再生装置で、再生するフィルムは幅35ミリ、長さ13メートルもあり、両端がつないである。横波式の音溝は全部で80本、それがすべて連続しているから音溝の全長は1200メートルにも達し、10インチ盤のレコードなら6枚分以上の40分の演奏が可能だった。

 要するに帯状になったレコードと考えればいいわけで、発想をそのまま現実のモノにしてしまうパワーが凄い。もちろん日本製ではない。この頃NHKでは、長時間録音が必要なときは巨大な16インチの録音盤を使用していたが、それでも15分の録音がせいぜいだったから、いかにフィルモン式が最先端をいっていたかが判る。でも、以降の技術革新はなし。あまりの扱い辛さに、一発屋で終わってしまったのが残念。

引用データ:『ラジオアマチュア』3月号/科学出版社/昭和24年3月1日発行

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2013年01月13日

昭和の新技術(04) 易しい電蓄組立て


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 本文に『易しい電蓄組立の要領』というのがある。リード文によると「近頃の街を歩くと、何うして斯うも音が悪いのか? と耳を覆いたくなる拡声器の氾濫」で、あわてて喫茶店に入ったところで「風呂桶の中で太鼓を叩く如き電蓄の叫びに折角のコーヒーも味が悪くなる」のが落ちだから、せめて自宅では静かに美しいメロディを聴くために、市販品を集めて易しい電蓄を組み立てようとある。

 昔の街はそんなにうるさかったのか、と思うと同時に、だからといって電蓄を組み立ててしまうという根性には恐れ入ってしまう。

 今時は、街に拡声器が備え付けられているところは珍しいし、喫茶店も風呂桶の中で太鼓を叩くようなサウンドを流しているところはほとんどない。一時手作りブームというのはあったが、ターンテーブルからステレオを自作するのは、ほんの一部のマニアだ。

 量販店にしろ通販にしろ、山のようにある電化製品から好みのモノを選ぶだけの時代に生きていると、無ければ自作、欲しいモノは自作、という時代がちょっとばかり羨ましくなってくる。

引用データ:『ラジオと音響』4月号/オーム社/昭和24年4月1日発行

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2013年01月14日

昭和の新技術(05) なぞなぞ


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 本文ページに『パイロット・ランプ』という小さなコーナーがある。そこに以下のような「なぞなぞ」が掲載されているのだが、お判りになるだろうか。

「横行ダイヤルの糸」とかけて「このごろの天気予報」ととく、心は「よく外れる」。「積層電池の電圧」とかけて「上等の石鹸」ととく、心は「ちょっと使えばすぐ落ちる」。「国産ミニチュア管」とかけて「背の低い男が裏木戸をくぐる」ととく、心は「つかえない」。

「横行ダイヤルの糸」とは、選局ダイヤルに連動して周波数表示の針を動かすために掛けられた糸。よく外れるせいか、ラジオの背面などに「糸の掛け方」図が貼り付けてあった。

「積層電池」とは、真空管回路の携帯ラジオに必要な電源用の電池。67.5ボルトから90ボルトまであり、1〜2時間の使用で1カ月程度持つはずだが、モノによっては自己放電してしまい、すぐに電圧が落ちてしまう製品があった。

「国産ミニチュア管」とは、小型化された真空管のこと。当時は市場に出始めの頃で、国産品の品質は玉石混淆だった。

 いずれの「なぞなぞ」も、国産品の品質の悪さを笑いにしてしまっているのだが、この数年後、安価で品質が良いという理由で大量のラジオがアメリカなどに輸出されることになるのである。

引用データ:『電波科学』5月号/日本放送出版/昭和24年5月1日発行

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